副学長(教学担当)渡部 明
人工知能研究開発機関(Open AI)により開発されたChat GPT等のAI技術を使ったサービスは、日々革新的な進化を続け、広く社会で有効に利用されており、それは教育研究の場でも例外ではありません。このような生成AIに対して、適切な問いや情報を与えることにより、さまざまなタスクを、従来よりもはるかに洗練された方法で支援することが可能になり、効率的に作業を進めることができます。適切に使うならば、大変役に立つツールになることは間違いありません。
しかし、さまざまな問題点に留意しながら利用しなければなりません。ネット上の情報は、正しいものばかりではなく、生成AIが作成した文書には誤りが含まれることもあります。真偽を正しく判断しないで発信する場合のリスクを考えなければなりません。文書の真偽を判断するのはあなた自身です。真偽を判断するためには、自らが考える力を培った上で、それを修正する能力を磨くことも必要なのです。
また、生成AIへ投げかけた質問などから個人情報や機密情報の漏洩につながるリスクもあるでしょう。使用の仕方を誤ると、法的な問題にもなりかねません。
そして、何よりも、AI技術を使ったサービスを教育研究の場で利用することだけでは、学生として物事を客観的に考察する能力、自らの考えを他者に説明する能力などの習得に支障となる可能性があり、決して学びが深まるわけではないのです。さまざまな情報を活用し、自らの考えを自らで作り上げること、また、自分とは異なる意見を聞き、人と人との対話を通して考えやアイデアを生み出すプロセスにこそ学びの重要性があるということを是非とも認識してください。その上で、このような技術を有効活用していただければ幸いです。
授業などでの利用は担当の教員の指示に従いましょう。AI技術による生成物をそのまま課題に対する回答やレポート、著作物として発表することは、不正行為となったり法的リスクを抱えたりすることになります。くれぐれも課題レポートや論文作成にこの技術だけに頼ることがないようにお願いします。