周南公立大学Shunan University は、最新のDecentralized ID（分散型アイデンティティ/DID）※１技術を利用したデジタル学生証システムの開発と実証を行います。
これに伴い、周南公立大学Shunan University は株式会社Diamond Hands（本社：愛知県名古屋市、以下「Diamond Hands」）と業務委託契約を結びました。
「本プロジェクトでは、DIDを利用する先進的な身分証明書プラットフォームを開発し、これを本学学生の学生証として活用することを通じて、その利便性、先進性を確認します。」
本プロジェクトでは単純な学生証のデジタル化に留まらず、web5※2を用いてDIDとVC※1として、在籍の事実、氏名、生年月日、成績を含む履修履歴などの個人情報を学生自身が管理したまま、第三者が検証することを可能にし、利便性、安全性、プライバシーを同時に向上させることが期待されています。検討にあたっては、大学に留まらないデジタル証明書としての発展を展望し、周南市とも連携します。
本プロジェクトで開発されるデジタル学生証システムは、実証実験を経て早ければ再来年度にも実際に学生の身分証明等に実運用することを展望しており、DIDを利用したこのような取り組みは世界的に見ても先進的な事例と言えます。
今般、本学とDiamond Handsが共同で開発するデジタル学生証システムでは、特に米国Block社が支援するTBD社が主導するWeb5プロトコルを採用し、より分散性と拡張性の高いシステムを構築します。
DIDを利用した学生証のシステムとライトニング※3を組み合わせることで、将来的には証明可能な個人の活動履歴と財産的価値の移転を関係づけて、たとえば、何かの目標を達成した時に自動で金銭的な褒賞が獲得できるなど、分散処理技術と自動化を融合させたインセンティブスキームを設計することや、学生証アプリからの実店舗への直接の支払いなどの可能性が広がっていきます。
今後は、本プロジェクトの成果を国内だけではなく、海外にも向けて広く発信していく予定です。なお、Diamond Handsは特にライトニングの開発や運用経験が豊富で、国内だけではなく海外でも業界内で広く認知されております。
(なお、本プロジェクトの費用の一部について西京銀行地域DX共同研究講座から資金協力を受けております)
【本件に関する問合せ先】
周南公立大学Shunan University 福祉情報学部 内田
電話：0834-28-0411 E-mail：uchida”アト”shunan-u.ac.jp
または、
周南公立大学Shunan University 地域共創センター 立部
電話：0834-28-0411 E-mail：tatebe”アト”shunan-u.ac.jp
※1
DIDはユーザー自身が自身の個人情報を管理する個人認証方法です。これを用いて、特定のサイトやデータへのアクセスを自己主権的にコントロールすることができます。DIDやVerifiable Credentials(検証可能な証明書、VC)を利用したパスワードレスログインや、証明書の改竄や偽造の防止は、Web3の基盤となる技術の一つとして注目されています。
世界的に見ると、米国、欧州、カナダ、日本などでHyperledger Ariesを用いたプロトタイプを作成したケースをはじめとして、DID/VCプロジェクトを推進した前例がありますが、そのほとんどがまだ実用のレベルには達していないなど分散性や運用面に課題が残っています。
※2
Web5はDIDとVCを一つのフレームワークで統合し、分散型のアプリケーションの開発を容易にするプロトコルです。また、Web5は世界の標準化技術の管理団体であるW3Cが策定したDID標準およびVC標準に準拠しており、広く世界で互換性を維持した利活用が可能です。今後DIDを軸にした多様なサービスが生まれることが期待されますが、これを実現する世界で最も期待されるツールの1つがWeb5です。なお、Web5ではデータの改竄を防ぐために記録のハッシュをブロックチェーンに刻むことが可能で、ブロックチェーン関連技術との親和性も特徴の一つです。
※３
「DIDとVCはライトニングネットワークとの技術的親和性が高く、個人データと、財産的価値を同時に制御する分散処理社会の実現を展望できます。」
ライトニングネットワーク（ライトニング）とは、ブロックチェーンで管理される財産的価値を高速かつ低コストで移転可能にする技術です。個人が自らのデータを管理するDIDとVCは多種多様なデータのやり取りや新しいビジネス・モデルを生み出す可能性があり、DIDが生み出す新たなデータ市場と低額高頻度な資金移動の処理を得意とするライトニングとの親和性は高いと考えられます。また、Web5を用いて実装されるDIDとVCはピア・ツー・ピア通信を基本としており、ネットワーク構成の面でもライトニングとの類似性が高いと言えます。Diamond Handsは日本を代表するライトニングの専門企業であることから、本学はパートナーとしてDiamond Handsと連携することとしました。
【周南公立大学Shunan University 福祉情報学部 内田教授（情報科学部着任予定）のコメント】
周南公立大学は2024年4月に情報科学部を新設し、新しい学生を迎えます。DIDやVCを用いたデジタル学生証の利用を通じて、秘密鍵を用いて自分の情報を自らが管理する、という情報化社会の進歩の利点を享受するために必要となる、最も基本的なスキルを体得できると思います。この経験は現時点では大学が提供する学習機会としては周南公立大学でしか得られないものと考えます。また、世界の最先端を常に追いかけている株式会社Diamond Hans様との協働を通じて、本プロジェクトが関係者にとって山口県に居ながらにして世界の最先端を直接体験できる機会となり、知識と経験という周南公立大学の無形資産が拡大することを期待します。
【Diamond Hands共同創業者CTO 小川氏のコメント】
昨今、個人情報の漏洩やプライバシーの取り扱いが問題となっています。これらの問題は事業者にとっても大きな課題ですが、個人にも関わる問題です。DIDやVCなどの新たなテクノロジーを活用することで、個人が自身のIDや個人情報を管理できるようになります。しかし、その反面、データの管理は個人が責任を持たなければなりません。そのため、ある程度の情報リテラシーが求められます。本プロジェクトでは、周南公立大学の学生様や職員様と協力を通じて、個々人がデータ管理に必要な情報リテラシーを習得し、向上させることを目指しています。
※株式会社Diamond Hands
日本の業界をリードするライトニング専門企業。2021年に日本でのライトニングの研究や普及を進めるためのユーザーコミュニティとして誕生し、その後規模や活動範囲を広げ、世界的に認知され多くの企業やグループと連携するまで成長。日本でのライトニング事業をさらに加速させるため、2024年に法人化され、ライトニングを利用した画期的なサービスの開発、ビットコインエコシステム全体の活性化などを目的に活動しています。
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