本学教職課程では、理論と実践を往還させながら教員としての資質・能力を育成しています。2025年度後期に開講された「公民科教育法2」の授業では、その理念を具体化する取り組みとして徳山工業高等専門学校(以下、徳山高専)との連携のもと、1月6日~9日にかけて本学経済学部3年生8名が公民科授業の設計と実践に取り組みました。

本科目は高等学校公民科免許取得に必須の科目であり、学習指導要領の理解、教材研究、学習指導案の作成、評価方法などの教師として必要な基礎的な事項を学んだ上で、公民科の授業を実施するための実践的な力量を形成するカリキュラムとなっています。この度は徳山高専 高橋祥吾准教授のご協力のもと、高橋先生のご担当クラス1年生約120名を対象に、学生が開発した公民科の授業プランを実施しました。

学生たちは3チームに分かれて、約1か月間にわたり授業の目標設定から教材研究、発問や学習活動の設計について検討を重ね、大学内での模擬授業などを経て徳山高専での授業に臨みました。教室では、一人ひとりの反応を確かめながら問いかけを重ね、受講者同士の対話を促す場面も多く見られました。写真に残る真剣な表情からは、大学の演習だけでは味わえない緊張感と充実感が伝わってきます。

【授業内容一例】

模擬国連の手法を取り入れたパリ協定の交渉過程を疑似体験する授業では、受講者が小グループ内でさまざまな国の立場に分かれ、温暖化対策をめぐる利害や価値観の違いを踏まえて各国の削減目標を設定しました。ワークシートには「国によって優先することが全く違うと分かった」「協力したくても簡単に合意できない理由が実感できた」「日本の立場をもっと考えてみたい」といった率直な言葉が並び、主体的に考えを深めていく様子がうかがえました。授業後の振り返りでは、時間管理や発表に対するフィードバックのあり方などをめぐり、改善点が指摘されました。

【今後の取り組み】

今回の実践は、大学の教職課程教育においてユニークな取り組みといえます。通常、大学では学生同士の模擬授業が中心であり、学校現場で授業を行う機会は教育実習までほとんどありません。教育実習に先立って“リアルな学習者”と向き合い、計画と即興、指導と対話のバランスを体感できたことは、学生にとって大きな成長のきっかけとなりました。