大学のスゴい研究、見せます!
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人の没頭を促進して活動を支援するロボット技術の研究開発
情報科学部 情報科学科 助教 河村 拓実
私たちの社会では、身体や時間、場所の制約によって、やりたいことができない人がまだ多くいます。そんな制約を乗り越えた未来社会の鍵となるのが遠隔操作ロボットです。これは自分の分身のように世界中で動いてくれる存在です。ただし、目的に応じて多様な構造をもつロボットを、操作者がまるで自分の身体のように自在に動かすのは大きな負担となります。そこで本研究室では、人が作業に夢中になる「没頭」状態での集中力やポジティブな気持ちなどのエネルギーをうまく引き出し、遠隔での社会活動に反映できる支援技術を研究開発しています。誰もが遠隔で社会に関われる未来を目指し、様々な分野の知見を融合させながら試行錯誤を重ねています。

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高齢者施設で起こる介護事故への責任のあり方とその対応(介護事故報告書調査、リスクコミュニケーション教育)・認知症の理解と共に暮らせる地域をつくる研究(裁判例分析、スティグマ調査、VR等)
人間健康科学部 看護学科 講師 辻 麻由美
自治体に提出される介護事故報告書の分析を通じて、現場で起こる事故の実態と、その責任の有無や対応方法について明らかにしています。たとえば、高齢者施設での転倒や誤嚥などの介護事故は、重大な後遺症や訴訟に至ることもあります。損害賠償責任は、事故の内容や発生状況により施設側に問われることが多いため、現場でのリスクマネジメントや、事故発生後の説明・家族とのコミュニケーションが重要です。<br>また、認知症患者への偏見や誤解を減らし、共生できる社会づくりに向けて、VR等を活用した教育や啓発活動も進めています。

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(元)留学生のキャリア形成支援
総合教育部 准教授 山本 晋也
私は、日本に留学後、日本国内に就職した(元)留学生のキャリア形成について研究しています。「キャリア」というと一般的には職業の履歴や個人の経歴を想像しがちですが、私は個人の内面的なキャリアに注目しています。具体的にいうと、その人の仕事や人生への向き合い方や価値観を指すものです。(元)留学生へのインタビュー調査を通じて、彼ら/彼女らが日本社会で働きながら、どのような経験をしているのか。そして、その経験が内面的なキャリアにどのような影響を与えているのかを調査しています。

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企業ガバナンスが研究開発投資と株主還元策との関係に与える影響について
経済経営学部 経済経営学科 教授 長澤 賢一
私は、企業ガバナンスの強化が、研究開発(R&D)投資と株主還元の関係にどのような影響を与えるかを研究しています。一般に、企業が成長投資を行わない場合は投資家の圧力で株主還元が増え、逆に成長投資を行う場合は株主還元が抑えられる傾向があります。研究の結果、特に成熟企業ではR&D投資を行うと、投資家の懸念から株主還元を増やすよう求められる傾向が確認されました。今後、ガバナンス改革が進むことで、企業が株主還元を抑えつつ成長投資の資金を確保できるかどうかを明らかにすることは、政策的にも重要です。
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アスリートの腸内細菌叢と生理学的メカニズムに関する研究ー心身のコンディション維持と健康管理対策ー
人間健康科学部 スポーツ健康科学科 教授 松生 香里
アスリートは、目標とする試合で最高のパフォーマンスを発揮するため、食事や睡眠、疲労の状態を把握し、緻密な体調管理のもとでトレーニングに取り組んでいます。このことから、運動と内部臓器との相互のはたらきを明らかにすることは、競技能力の維持・向上や日常の健康維持・増進においても非常に重要な課題です。しかしながら、アスリートは過度なトレーニングによる心身の疲労やストレスが原因で、腹痛など腸内環境の悪化が起こることが少なくありません。腸内細菌の情報を利用し、全身の臓器にいたる関連メカニズムを調べ、実験室内にとどまらず、スポーツ現場と連携しながら競技力維持・向上を目指した研究を行っています。

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暮らしに困難を抱える家庭の子どもの成長や進学を支える仕組みづくり
人間健康科学部 福祉学科 准教授 牛島 豊広
経済的に困難を抱える家庭の子どもたちが安心して学び、大学などに進学できるようにする仕組みづくりに取り組んでいます。具体的には、地域の学校や福祉機関が協力して子どもを支える「話し合いの場(協議体)」をつくり、その効果を明らかにする研究を進めています。また、保育園や幼稚園を対象に、家庭の暮らしを支えるためにどのような取り組みが行われているかを調べています。さらに、こうした成果を通じて、保護者の安心感や地域全体の支え合いがどのように形成されるのかを検証し、より効果的な支援の在り方を探っています。





