教育・研究シーズ
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引き算で考える最大幸福
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18〜19世紀に活躍したイギリスの思想家ベンサムは最大多数の最大幸福を法・道徳の原理とすべきことを主張した。功利主義の大目標である最大幸福は一般に「足し算」で理解されるが、加算の方法等について解釈上の問題が多い。それに対して、私は「法に依存する幸福」である「権利」概念に着目し、最大幸福を「引き算」から理解する。法による権利創設によって最大幸福はすでに与えられている。法に依存する幸福(権利の享受)は侵害(犯罪)によって減じるが、国による権利保障と犯罪防止によって最大値に近づく。この権利侵害の引き算による幸福の最大化という観点は功利主義哲学への新たな解釈の可能性をもたらす。
メッセージ
いち哲学者のテキスト解釈はその哲学者の理解を深めるにすぎません。しかし、偉大な先人の思想はなお現代の諸問題に対する新たな「考えるヒント」を与えます。新たに生じ来たる社会の問題に対する手掛かりとなる視点を得るお手伝いができると思われます。