経済経営学部の「マーケティング論Ⅰ」(担当教員:髙橋真実)では、東急ホテルズ本社および松江エクセルホテル東急の協力のもと、実在するホテルを題材にマーケティング戦略を立案する実践型プロジェクトに取り組みました。受講学生は5グループに分かれ、松江エクセルホテル東急の現状、松江市の観光市場、顧客、競合などを調査・分析。企業からの説明やヒアリングも踏まえ、3C分析、SWOT分析、STP、4Pなど授業で学んだフレームワークを用いて、「誰に、どのような価値を、どのように提供するか」を検討し、最終的なマーケティング戦略としてまとめました。
5つの異なる視点からマーケティング戦略を提案
A:ユニバーサルツーリズム 歩行に不安を抱える方や高齢者なども安心して観光できることに着目し、観光タクシー等との連携によって宿泊から観光までを一体的に支援するサービスを提案。「安心して旅行できるホテル」という新たな宿泊価値を示しました。B:台湾市場・OTA改善 台湾市場に着目し、台湾在住の大学生・大学教員31名への独自アンケートと現地ヒアリングを実施。ホテル選択時に重視される情報を分析し、Booking.comなどのOTA上で、客室の広さ、朝食、駅からのアクセスなど「宿泊後の体験」が伝わる情報発信への改善を提案しました。C:女性旅行者向け「駅前×食×安心」 3C分析、SWOT分析、STP、4Pを一貫して用い、競合ホテルが強みとする「温泉・価格・景観」と直接競争するのではなく、駅前立地、山陰の食、女性専用フロアなどを組み合わせ、「駅前×食×安心」を価値として県外女性旅行者に選ばれる戦略を提案しました。D:若年層向け「#松江推し」 若年層・現役世代への認知拡大を課題として捉え、SNSを活用した「#松江推し」キャンペーンを提案。情報発信だけでなく、宿泊・レストラン利用への波及や収益性も検討しました。E:歴史・文化×御朱印帳 松江を訪れる観光客の歴史・文化への関心に着目し、ホテルの朝食とオリジナル御朱印帳を組み合わせた企画を提案。ターゲット設定から商品、価格、提供方法、プロモーションまで4Pに沿って具体化しました。
各グループの提案資料は松江エクセルホテル東急にも共有されました。

企業からのフィードバック
プレゼンテーションには、東急ホテルズ&リゾーツ株式会社 人財戦略グループ 人財育成担当の杉野仁美氏にもご参加いただきました。学生の発表を受け、次のコメントをいただきました。「本日はプレゼンに参加させて頂き有難うございました。私としても、改めてホテルの価値を再考する機会となりました。今回、学生さんが初めてマーケティングを学ばれているとは大変意外で、フレームワークも使いこなしてらっしゃるようにお見受けしました。こちらが気づかされた視点等も随所にあり、とても刺激的でした。」松江エクセルホテル東急のマーケティング担当の藤本美保氏からは、提案資料について次のコメントをいただきました。「学生の皆さんが非常によく調査・分析され、それぞれ異なる視点からホテルの課題や可能性を捉えていることが印象的でした。私では思いつかないような視点やアイデアも多く、大変興味深く拝見しました。実際の取り組みに参考にさせていただきたい内容も多く、今後のホテルのマーケティング活動に活かしていきたいと考えております。」
「知る」マーケティングから「使う」マーケティングへ
授業終了後には、学生から、実在する企業を題材にしたからこその振り返りが寄せられました。受講学生の声:松江現地訪問・ヒアリング「皆様のご協力のおかげで、現場の課題やホテル運営について深く理解することができました。机上で学ぶだけでは得られない実践的な学びを通して、データ分析だけでなく、現場の視点やお客様の立場を踏まえて考えることの重要性を実感しました。」受講学生の声:実在企業を題材にした学び「実際にあるホテルのマーケティングを考えるということで授業なのに全てにリアリティがあって、本当に色々な視点から考えるべきことがあることを学ばせていただき、本当に感謝しています。」受講学生の声:マーケティングへの認識の変化「これまで私にとってマーケティングとは『製品をいかによく見せるか』という漠然としたイメージでした。しかし、実際に戦略立案に取り組む中で、客観的な情報収集やフラットな評価を行うことの難しさを痛感しました。マーケティングが非常に理論的な思考の上に成り立つものだと理解できたことは、私の中で大きな意識の変化です。」
今回の取り組みでは、マーケティングのフレームワークを覚えることをゴールとせず、実際の企業・市場について情報を集め、事実を分析し、顧客を定め、戦略を構築し、実行可能な施策へ落とし込む一連のプロセスを経験しました。企業のリアルな課題に向き合い、自分たちの提案を企業へ届け、直接フィードバックを受けることで、マーケティングを「知る」ことから「使う」ことへつなげる実践的な学びとなりました。このたび学生の学びのために多大なるご協力をいただきました、東急ホテルズ&リゾーツおよび松江エクセルホテル東急の皆様に、心より御礼申し上げます。
学生教育×企業事業推進×社会貢献を一体化
担当教員は、ジョブ型雇用にも通用する学生教育と、企業の事業推進(必要に応じた社員教育・研修を含む)、社会貢献を一体として進めることを、教育・産学連携の理念としています。学生(大学)が実在企業の課題に向き合い、企業に具体的な価値を返し、その成果を地域・社会へ還元する。本企画は、この理念を授業の中で実践した取り組みです。