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企業ガバナンスが研究開発投資と株主還元策との関係に与える影響について
経済経営学部 経済経営学科 教授 長澤 賢一
研究の概要
私は、企業ガバナンスの強化が、研究開発(R&D)投資と株主還元の関係にどのような影響を与えるかを研究しています。一般に、企業が成長投資を行わない場合は投資家の圧力で株主還元が増え、逆に成長投資を行う場合は株主還元が抑えられる傾向があります。研究の結果、特に成熟企業ではR&D投資を行うと、投資家の懸念から株主還元を増やすよう求められる傾向が確認されました。今後、ガバナンス改革が進むことで、企業が株主還元を抑えつつ成長投資の資金を確保できるかどうかを明らかにすることは、政策的にも重要です。
この研究で社会·暮らしがどう変わる?
本研究は、企業が株主に還元する利益と、将来の成長につながる研究開発投資とのバランスをどう取るべきかを示しています。成熟企業ほど株主からの圧力で配当を増やす傾向がありますが、ガバナンス改革が進めば、還元を抑えて成長のために資金を振り向ける道も開けます。これは、企業経営にとって短期的な利益配分だけでなく、長期的な成長戦略を重視することの重要性を示すものであり、私たち投資家や消費者にとっても「持続的な企業の価値創造をどう支えるか」という視点を与えてくれるでしょう。
研究の魅力
この研究の魅力は、株主への利益還元と研究開発投資という企業の重要な資金配分を、ガバナンス改革という現実の変化と結びつけて検証する点にあります。成熟企業を対象に、投資家の監視や圧力が実際に資金配分へどう影響するのかを示すことで、学術的にも実務的にも新しい知見を提供していることです。
