2025年11月16日、周南公立大学 立部文崇准教授がラジオ番組に出演し、山口県ゆかりの詩人・俳人―まど・みちお、中原中也、種田山頭火―の作品を手がかりに、「日本語オノマトペの豊かさと奥深さ」を2時間にわたり紹介しました。番組では、名古屋大学 秋田喜美准教授の研究をもとに、日本語オノマトペの多様性を解説。さらに、詩人たちの作品に現れる音象徴の技巧を取り上げました。
○中原中也の詩とオノマトペ中原中也記念館の中原館長のお話をもとに、中也が言葉の「音」を繊細に扱い、オノマトペが詩の情感やリズムを生み出す仕組みを紹介しました。同じ語でも場面により軽やかにも儚げにも変化する多義性が、中也作品の魅力を支えていることを改めて確認しました。
○山頭火と音象徴種田山頭火の俳句の1つ、「さらさらささのゆきあかりして」に見られる[s]音の連続的な響きが、雪景色の静けさを音で描く技巧として注目しました。
○まど・みちおの創作オノマトペジャンク船という詩の中にある「トロンコ、ポロンコ」のような言葉遊びが、音の楽しさと想像力の広がりを示す例として紹介しました。
さらに、番組内ではアナウンサーとともに「ころころ」と「ごろごろ」の聴き比べを実施。濁音や促音が意味に与える影響を体験し、音象徴研究の知見をわかりやすく伝えました。加えて、今井むつみ教育研究所の今井むつみ先生らの研究から、オノマトペが子どもの語彙習得を助けることにも触れ、言葉の「音」が持つ学習メカニズムを紹介しました。
身近なオノマトペが、詩人たちの手にかかると無限の表現を生み出す―。山口が生んだ詩人・俳人を軸に、日本語の音の魅力を存分に味わえる番組となりました。

右が立部先生