大学のスゴい研究、見せます!

精神科看護師におけるNegative Capabilityの概念構築

人間健康科学部 看護学科 准教授 大達 亮

Q1. どんな研究テーマですか?

精神科の長期ケアで、先が読みにくい状況の中でも、看護師がどうやって対象の回復を支援し続けているのかを調べた研究です。精神科の長期ケアでは、うまくいかない時期や停滞が長く、その中で看護師がどのように考え方や関わり方を調整しているのかということを検討しています。

Q2. なぜこのテーマに取り組もうと思ったのですか?

精神科の長期ケアでは、すぐに成果が見えないことが多く、「何が正解かわからない」「良くなっているのか判断しづらい」場面が続きます。その中で看護師は、どのように考え続けているのか、その力を理論として捉え、現場のケアや教育に役立つヒントを作りたいと思いました。ある詩人が言及したネガティブ・ケイパビリティという「不確実さや懐疑の中にいられる能力」を意味する概念から着想を得ています。

Q3. 研究ではどのような方法で調査を行っていますか?

精神科看護師に、1年以上関わった長期支援の事例(回復の目標が一定程度進んだ事例)について詳しくインタビューしました。インタビューの内容を、グラウンデッド・セオリーというテキスト分析の手法を用いて分析し、看護師が長期で不確かな状況をどう乗り越え、どんな工夫を積み重ねたのかを、一つの戦略の枠組み(理論)として整理しました。

Q4. この研究が進むと、社会や暮らしにどんな変化が期待されますか?

不確かで予測が難しい「VUCAの時代」において、すぐに答えが出ない状況とどう向き合うかは、医療現場だけでなく社会全体の課題です。ネガティブ・ケイパビリティに着目することで、結論が出ない状況でも思考を続ける力や想像力を育むヒントを提示できると考えています。

Q5. この研究の魅力はどんなところですか?

精神科看護には、一人ひとりに合わせたユニークで創造的な実践が数多く存在します。本研究では、そうした実践の背景にある技術や発想、周囲の支えを紐解くことができます。また、ケアを行う人の「ユニークさ」をどのように育てていくのかという視点から、看護教育のあり方についても深く考えられる点が大きな魅力です。