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アスリートの腸内細菌叢と生理学的メカニズムに関する研究ー心身のコンディション維持と健康管理対策ー
人間健康科学部 スポーツ健康科学科 教授 松生 香里
研究の概要
アスリートは、目標とする試合で最高のパフォーマンスを発揮するため、食事や睡眠、疲労の状態を把握し、緻密な体調管理のもとでトレーニングに取り組んでいます。このことから、運動と内部臓器との相互のはたらきを明らかにすることは、競技能力の維持・向上や日常の健康維持・増進においても非常に重要な課題です。しかしながら、アスリートは過度なトレーニングによる心身の疲労やストレスが原因で、腹痛など腸内環境の悪化が起こることが少なくありません。腸内細菌の情報を利用し、全身の臓器にいたる関連メカニズムを調べ、実験室内にとどまらず、スポーツ現場と連携しながら競技力維持・向上を目指した研究を行っています。
この研究で社会·暮らしがどう変わる?
アスリートの体調管理やパフォーマンス維持のみならず、日常のコンディション維持や体調不良(便通異常、疲労感、睡眠の質低下など)の原因解明に役立ちます。また、腸内細菌叢データを活用した新規の栄養・運動プログラムの開発として、腸内細菌の状態に合わせた食事メニューや摂取のタイミング運動強度の調整方法が科学的根拠に基づいて設定できるようになります。さらには、腸内環境や臓器との連動をモニタリングすることで、疲労やストレスの「見える化」が可能になるとともに、健康長寿社会への貢献へ繋がることが期待できます。教育現場や社会にも還元しやすくすることで、自身への健康への興味が湧く研究課題であると考えています。
研究の魅力
本研究の魅力は、腸内細菌が全身のコンディション維持に重要であることに注目し、内部臓器とのかかわりについて生理学的な視点から明らかにすることで健康長寿社会への貢献を目標としている点です。アスリートに特化した研究であるものの腸内環境と臓器間の繋がりを理解しやすいスタイルで「見える化」し、アスリートから一般成人の健康維持対策として、世の中への還元を目指しています。
