大学のスゴい研究、見せます!
人の没頭を促進して活動を支援するロボット技術の研究開発
情報科学部 情報科学科 助教 河村 拓実
研究の概要
私たちの社会では、身体や時間、場所の制約によって、やりたいことができない人がまだ多くいます。そんな制約を乗り越えた未来社会の鍵となるのが遠隔操作ロボットです。これは自分の分身のように世界中で動いてくれる存在です。ただし、目的に応じて多様な構造をもつロボットを、操作者がまるで自分の身体のように自在に動かすのは大きな負担となります。そこで本研究室では、人が作業に夢中になる「没頭」状態での集中力やポジティブな気持ちなどのエネルギーをうまく引き出し、遠隔での社会活動に反映できる支援技術を研究開発しています。誰もが遠隔で社会に関われる未来を目指し、様々な分野の知見を融合させながら試行錯誤を重ねています。
この研究で社会·暮らしがどう変わる?
リモートワークが広がっても、身体や育児、介護の事情など働きたくても働けない人は大勢います。もし誰でも簡単に使え、進んで操作したくなる遠隔操作ロボットがあれば、そうした人たちの熱いエネルギーを損なわずに済み、リモートワークの可能性は飛躍的に拡大するのではないでしょうか。例えばエッセンシャルワークや農業などの仕事にも関われる道が拓ければ、少子高齢化・人手不足や経済発展などの地域の課題解決に結びつきます。また、個人と社会、さらには世界との関係性も大きく変化します。働き方だけでなく趣味の楽しみ方も広がり、人生100年・AI時代の新しい「やりがい・生きがい」を見出すきっかけにもなるのではないでしょうか。
研究の魅力
誰もが使いたくなる遠隔操作ロボットを実現するためにはどんな支援が必要か、その答えはまだ見つかっていません。試作と評価を繰り返しながらこの解決策を模索し続けるのですが、試作はとても困難で、ユーザからの反応が厳しいことも少なくありません。その中で、アイデアを形にする過程に没頭できる体験、自分が作ったものに誰かが夢中になってくれる瞬間に立ち会える体験は、研究者としての喜びであり、次の挑戦への原動力です。
