周南公立大学経済経営学部の長澤賢一教授と情報科学部の道山知成助教による共同研究「外国人投資家は日本企業のイノベーションを促進するか―特許出願と引用に基づく実証分析―」が、2026年8月1日付で査読付き学術誌『証券アナリストジャーナル』に掲載されました。

【研究概要】本研究では、外国人投資家による株式保有が日本企業のイノベーションに与える影響について、約20年分の財務データと特許データを統合し、実証分析を行いました。分析の結果、外国人投資家の持株比率が高い企業では、特許出願件数(量)は増加する一方で、特許の引用効率(質)は低下する傾向が確認されました。このことから、外国人投資家の存在は企業の研究開発活動を活発化させる効果がある一方で、短期的な業績への期待などを背景として、革新的・挑戦的な研究よりも既存技術の改良が優先される可能性が示唆されました。本研究は、経済・経営学の知見と情報科学におけるビッグデータ解析技術を融合することで、企業のイノベーションを「量」だけでなく「質」の観点からも検証した点に特徴があります。

【研究者コメント】長澤 賢一 教授(経済経営学部)「外国人投資家は日本企業の挑戦を後押しするのか、それとも短期的な成果を求める圧力になるのか。ガバナンス研究におけるこの長年の問いに、大規模な特許データを精緻に処理する情報科学の技術が加わったことで、イノベーションの『質』にまで踏み込んだ検証ができました。学部の垣根を越えた協働だからこそ実現した成果です。」道山 知成 助教(情報科学部)「天文学のビッグデータ解析で培った手法が、経済・経営分野の課題を解く鍵になりました。異なる専門知識を持ち寄ることで、一人では到達できない知見が生まれる。まさに文理融合のシナジーを実感しています。今後も学内の連携から新しい研究を発信していきたいと思います。」

【論文情報】長澤 賢一・道山 知成(2026)「外国人投資家は日本企業のイノベーションを促進するか―特許出願と引用に基づく実証分析―」『証券アナリストジャーナル』第64巻第8号、81–94頁DOI:https://doi.org/10.69388/saj.64.08.81

本研究は日本学術振興会科学研究費助成事業(基盤研究(C) 24K04944)の支援を受けて実施されました。